青、赤、黄、黒の4色が織りなす美カラー印刷のしくみは、割合を変えて混合すれば、すべての色を表すことができる「3原色の原理」に基づいています。基本となる色は青(シアン)、赤(マゼンタ)、黄(イエロー)の色材の3原色です。印刷の方法はカラー写真などの原稿を3原色に分解して各色の版を作り、3色を刷り重ねて美しい色を再現します。実際には、インキの特性によって3色を重ねても出しにくい黒(ブラック)を加えた4色で印刷しています。
失敗から生まれた大発見印刷技術の主流となっているオフセット印刷の原理は、一度版に付けたインキを離して(Off)、ゴムブランケットに転写し、それを紙に印刷する(Set)という間接印刷法です。多くの発明が失敗の中から生まれたように、オフセット印刷機もまた、ある印刷ミスからヒントを得て生まれました。1904年のある日、アメリカの機械技師ルーベルが石版印刷工場で印刷作業を見ていると、印刷者が印刷機に紙を入れ損ない、そのまま印刷してしまいました。そのため、紙を版に押しつけるゴムのローラーに版のインキが付着してしまったのです。気づかぬまま印刷者が再び紙を入れると、ローラーに付着していたインキが紙に転写され、きれいな印刷物に仕上がったのです。この光景にヒントを得たルーベルは1905年、版のインキをゴムブランケットに転写するオフセット印刷機を完成させました。